オジ・ノイエ

札幌の西、三角山ふもとの傾斜地に建つ叔父の家の建て替えである。周辺は緑が多く残る恵まれた環境であるが、この地で生まれ育った叔父には見慣れた風景となってしまっていた。

僕はこの計画において、彼が60年近く見てきた周辺環境を、建て替え前とは違うかたちで体験してもらおうと考えた。雪や雨が通り抜ける水槽のような光井戸、日差しがきらめく小さな水盤、光を選ぶ絞られた開口、夏には陰影を、冬には粉雪を載せ白いラインをつくりだす凹凸のある板張りの外壁など、見飽きた環境に再び鮮度を与える為のほんの少しの単純な仕掛けをプランの中に落し込む。寝る場所と食べる場所、2つの大きなスペース間に諸機能を配置しただけのシンプルな平面と、そこに映し出される複雑な自然現象は、強いコントラストをもって互いを引き立て合う。軒の深い大きな屋根は、外壁を保護しながらこれらの仕掛けをひとまとまりに包み込む。

撮影:酒井広司  Photo: Koji Sakai