チョウコクカ・ノイエ

準工業地域に建つ、彫刻家のためのアトリエ併用住宅。周辺は窓のない古い倉庫が点在し、一見殺風景に感じるが、クライアントはむしろそうした環境を創作の場として好み、この土地を購入した。

彼は建物外観にもそのような佇まいを求めていたが、人柄や家族の雰囲気は至って和やかで、やさしさに溢れていた。そこで我々が提案したのは、内で家族が強く結びつく家である。子供や妻が集う土間リビングと、彼が篭るアトリエとが中庭を介して向かいあう。それぞれのスペースに設置された断熱折戸は完全に開放することが可能で、アトリエ、中庭、リビングは、パーティや個展などの目的に応じ、あるいは北海道の四季に応じて、一体化したり、分節されたりと様々な大きさに変化する。

建物の前に設けられた大きな駐車スペースは作品の積み込みを容易にするだけでなく、大きな搬出口を開放すればアトリエ、中庭、リビングと一続きとなり、クライアントが催す様々なアクティビィティーに大きな容量を持って対応する。

撮影:酒井広司  Photo: Koji Sakai