ヒカリハシラ・ノイエ

札幌市中心部から路面電車で南へ30分程、藻岩山の裾野に広がる住宅街に建つ住宅。旗竿型の敷地内に2つの用途地域が存在しており、周辺には既存の高層集合住宅がいくつかあるような場所で、南側の土地は積雪時期の車の出入が辛うじて可能な寸法である。

札幌の中でも比較的古くから開けたこのエリアは、落ち着いた住環境が人気で高層マンションなども多く、価格も含め戸建住宅用の敷地探しになかなかてこずる場所である。そんなエリアに、クライアントはわずか13坪の小さな敷地を購入した。東側に巾の狭い前面道路、西側には高層マンション、北側に3層のテナントビル、南側の空き地は将来住宅用地としての利用が予想されることから、プライバシーの確保を主眼とした中庭タイプのプランをベースに設計を進めた。小さな駐車スペースに柱を立てない為のフレーム配置から導き出される平面形状、限られた床面積の中で廊下的空間を最小限に抑えるスキップフロアによる空間構成、その中心となる垂直移動空間である階段に絡めた採光・通風を確保する光井戸の配置、重力換気によるスムースな通風経路を確保するペントハウスから出られる日当たりの良い屋上テラス。必然性をもって集合したこれらの要素によってこのスリムな建物は成立している。

札幌市北部の雑多な地域にある狭い全面道路と3層の建物に囲われた長方形の敷地である。長手方向に敷地を二分割し、東側には黒いボックスに納められた住宅機能を、残った敷地には白い壁で囲われた風が抜ける奥行きのあるテラスと庭を用意した。

充分な採光を得るためリビングは2階に配置し、それらメインのスペースは周辺建物からの視線などを考慮したサイズの窓によってテラスと一体化する。車への積雪を防ぐこの2階テラスは夏のリビングとして週末に多くの友人たちを迎え入れる。

このテラスを囲う手摺壁や南西の光と通風を確保するための開口部が建物の特徴的なフォルムを形づくっている。

撮影:酒井広司  Photo: Koji Sakai