カコイニワ・ノイエ

敷地は札幌市の南側に位置する小高い丘の上にある。周辺は比較的大きな面積を持った敷地に瀟洒な家が立ち並ぶ恵まれた住環境であり、今回の住宅がそうした街並みを構成する一要素になることは計画当初から強く意識されていた。

周辺道路よりも一段高くなっている敷地レベルを活かし、車庫や玄関を半地下とした1.5階建てのこの住宅は、明らかに近隣建物よりも低く、横長のプロポーションを獲得して街並みの連続性に寄与している。また、建物外部に使用した乳白色の外壁は将来周辺の建物が建て替えられても違和感のない街並みを継承するための選択である。こうしてできた低い建物はコの字を描いて配置され、敷地の中心にプライベートな庭をつくりだす。コの字平面内に並べられた玄関、リビング、書斎、和室などの空間はそれぞれ異なるレベルで庭と向き合う設計とし、一つの庭でも多彩な表情が楽しめるよう工夫されている。

撮影:i岩波 睦