のぞみの家・3号館

北海道赤平市に建つグループホームである。
9人×2ユニット=18人の高齢認知症の人々がスタッフと共に『家族』としてここで暮らす。
我々の提案は、入居者それぞれの『個室』が、皆が集まる大きな『居間』に面し、どんなときも『家族』の気配を感じられる建築にしようというものである。『個室』と『居間』の間には、適度な視覚的プライバシーを確保するために、いくつかの『ブース』が設けられている。この『ブース』は「畳コーナー」や「読書コーナー」、「もの思いコーナー」など、 入居者それぞれがその時の気持ちに応じて、『家族』・『居間』との距離感をコントロールできる中間的居場所としても機能する。また、『そとの居間』と『うちの居間』を設けることで、内部にこもりがちな入居者を、積極的に外部と関係づけている。『大きな家』に設けられた幾つかの仕掛けによって、それぞれの入居者が尊厳を保ちつつ、『家族』として長く健康に暮らせる施設づくりを目指した。

撮影:酒井広司  Photo: Koji Sakai