夕陽

2011 年 5 月 11 日

日記的ブログ3日目です。

2011年5月11日(水):

朝、電話にて色々な手配を済ませてから非常勤講師をさせて頂いている北海道工業大学へ。3年生の設計演習を担当しています。昨年からお昼を挟んで3コマの授業となり、水曜日はほぼ終日学校に居ます。
建築への純粋な情熱を持った学生達とのディスカッションは、僕にとって重要な時間です。半期で二つの設計課題をこなすのですが、彼らの設計案に対する僕からのコメントは、その学生へのコメントであると同時に僕自身へのコメントでもあるからです。ようするに学生達と話すこと(言葉にすること)で、普段自分が気付いていない僕自身の思考や興味の対象が見えてくることが時々あるのです。学生に向かって『建築家の心構え』的事柄をそれらしくコメントをした後に、『僕自身、それを実践できているのか!?』と自省することもしばしばですが、そうした機会があることも重要だと思っています。仕事に追われると大事な心構えを忘れてしまったりしますから。夕陽が落ちる頃学校を出ました。
sunset.jpg

    

お世話になっていた腕の良い職人さんM棟梁が突然亡くなられた。その方の葬儀に向かう。

M棟梁とは仕事以外にも縁があって、奥さまや御子息とも僕の趣味であるスキーを通じて昔からお付き合いがあった。本当に突然の訃報で、なんと気持ちを表現したら良いのか言葉が見つからない。ましてや御家族の気持ちはいかばかりか。胸が痛む。

棟梁、ありがとうございました。
心からご冥福をお祈り申し上げます。 (aka)

日記2日目

2011 年 5 月 10 日

おっと危ない。日記的ブログ2日目にして思わず挫折するところでした。ブログをはじめてから一度も『連日更新』したことがないので、せめて1週間程度は続けたいと思っております。

2011年5月10日(火):

スタッフsanと昨年竣工した「カワゾイ・ノイエⅡ」の1年点検へ。クライアントの方がとても綺麗に使って下さっていることに感謝します。敷地には建設前からここにある木蓮の白く大きな花。緑が一斉に芽吹く北海道の春です。点検の後、京都と熊本の美味しいお菓子を頂きながら、今年工事予定の外構(植栽など建物の外回周りの工事のこと)の打合せをしました。
rimg6590.JPG

事務所に戻って昼食の後は、近々札幌近郊の都市で着工を予定している住宅プロジェクト(仮称I邸)について工事業者さんとの打合せです。工事金額についてディスカッション。

急ぎのプロジェクトのエスキース(構想を練ること)を少し進めた後、研修生のtakと前述のI邸プロジェクトの敷地へ向いました。もちろん設計前の敷地調査で写真は何枚も撮ってあるのですが、迷いや問題が生じた時はまず敷地に行くべし。修行時代の先輩の言葉です。

夕方、事務所に戻ってからtakと問題解決策について打合せ。午後にやり掛けたエスキースを再び進める。急がねば。(aka)

語尾変更宣言。

2011 年 5 月 10 日

お気付きの方も多いでしょうが、このブログ、昨秋からakaの文章は語尾を「である」調にしておりました。これは、弊社のスタッフmatやsunによる書き込みと区別する為だったのですが、どうも日常の僕には「である」調が似合わない。そもそもこのブログ、「Akasaka Shinichiro Atelier の『日記』」というタイトルですから、もっと気軽に肩ひじ張らず普段着姿で更新したい。という事で私akaは連休明けの今日から「です・ます」調に復帰!

それを記念して(?)、少しのあいだ「日記」的に僕の日常をお伝えできればと思います。

2011年5月9日(月):

朝一でスタッフのsun と札幌市南区で進行中の住宅リフォームの現場へ。今週末引き渡しの予定なので、今日は事務所検査。
1105091.jpg

昼前には事務所に戻り、ランチの後は札幌市中央区に建設される木造住宅プロジェクトの構造に関する打ち合わせ。構造家のYさんに事務所に来ていただき、ドーナツ型(?)の住宅と、木造3階建て狭小住宅の構造についてディスカッションを重ねました。

夕方からは大正時代に建てられたビルの一角をカフェにするプロジェクトの打ち合わせ。以前入っていた店舗の内装解体が終わったとのことで、クライアント、内装業者さんと共に現況を確認し、その場で簡単な打ち合わせを行いました。1105092.jpg

事務所に戻り、スタッフ全員で『月曜ミーティング』(いつもは月曜の朝に行いますが、今朝は現場に出ていた為この時間に)。今週のスケジュールを確認し合います。

その後、少し溜まり始めている幾つかのプロジェクトの図面を描きました。連休中も作業したのですが、納まりなどで悩んでしまうと、なかなか進まないものです。帰宅時間は・・・秘密です。 (aka)

節電?

2011 年 4 月 16 日

chika.jpg
札幌駅と地下鉄大通駅とを繋ぐ地下歩行空間が震災直後に開通した。これにより、既存の地下街や地下通路の合計距離(地上に出ずに歩ける距離)は南北1.8㎞、東西1.2㎞と、結構な長さとなる。

先日、はじめてその地下歩道を歩いてみて、適度な明るさ(程よい暗さ)の照明計画に好感をもった・・・ が、天井を見てみると、点灯していない照明器具がかなりある。出口に近付くと「震災に伴い節電中」という貼紙。

震災に関係なく、地下通路はこのままの明るさで十分だと思う。それで気付いたのは既存の地下街や地下鉄駅構内の過剰な明るさである。照明計画を見直せば地下の落ち着いた雰囲気を持たせつつ、かなりの節電が出来るのでは?市営交通の赤字解消手段のひとつとしても是非検討して頂ければと思う。(aka)

生を思う。

2011 年 4 月 2 日

horse_1.jpg
競馬には詳しくない。しかし、先日ニュースで見た「ドバイワールドカップ2011」で日本の競走馬「ビクトワールピサ」が優勝したのを見て涙がでた。世界最高峰レースの一つに数えられるこのレースで、日本の競走馬が優勝したのは初の快挙とのこと。震災で傷ついた日本を勇気付けようと、スポーツ選手やアーティスト達が様々な支援活動を展開してくれているが、このレースがことさら僕の胸を打ったのは、人の言葉を持たない動物が、行動をもって「ほら。日本のみんな、がんばろうよ!」と励ましてくれた気がしてならなかったからだ。腕に喪章を付けてレースに挑んだデムーロ騎手(イタリア)が「日本の為に勝ちたかった」と大泣きしながら日の丸をはためかせてくれたのも心に響いた。

現在避難所生活をおくる被災者の中には、やむなく家族同然のペットを置き去りにしなければならなかった方や、手塩に掛けて育てた牛や鶏などを残したまま避難することになった酪農、畜産家の方々も多いと聞く。残す者、残される者、双方の気持ちを思うと胸が傷む。

震災で亡くなった多くの方々の思いはもちろん、言葉に出来ない動物達の気持ちにも耳を傾けると、生かされた私達は心をひとつに困難を乗り越えていくと誓わずにいられない。(aka)

東日本大震災で被災された皆様へお見舞い申し上げます。

2011 年 3 月 18 日

この度の大震災で被害にあわれた皆様へ心よりお見舞い申し上げます。

連日報道されている被災者の皆様の声を聞くと本当に胸が痛みます。離れた場所に居る我々が、義援金を送ること以外に何か出来ることはないのかと、いま模索しております。海外からも励ましのメールが届いております。日本人だけでなく海外の多くの人々も被災地の皆さんのことを思い、そして応援しています。

どうか心を強く持ち、この困難な状況を乗り越えて下さい。
一日も早く平穏な日常が皆様に訪れることを心よりお祈り申し上げます。

アカサカシンイチロウアトリエ スタッフ一同

ユーロ研修報告8

2011 年 2 月 26 日

しばらく間があいてしまったが、ユーロ研修報告の続きを。
前回紹介したヴェローナから、フィレンツェへ向かい列車で出発。途中、ボローニャからイタリアの新幹線「ユーロスター・イタリア」に乗り換えると、あっという間にフィレンツェに到着する。
駅を出て夕暮れの街を歩こうとするとバケツをひっくり返したような激しい雨。やむなくその日は食事だけとし、翌日に期待する。
eurostation.jpg
ユーロスター・イタリア

翌朝もあいにくの雨模様だが、めげずにサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に向かう。この世界遺産にもなっているあまりにも有名な大聖堂は1296年に着工し、数々の建築家が携わり1461年に完成した。当時、建設が不可能かと言われていた巨大なクーポラ(ドーム)は、1418年に行われたコンペによって選ばれたフィリッポ・ブルネレスキの設計。彼はこの仕事で偉大な建築家として後世に名を残すことになる。

domoout1.jpg
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

domoout.jpg
クーポラはフィレンツェの象徴といえる。
ジョット設計の鐘楼からブルネレスキ設計のクーポラを望む。
朝方の雨も止み、時々晴れ間も見えてきた。街の建物の屋根はオレンジ色の瓦で統一されている。よく見るとほとんどのBSアンテナも屋根と同じ色に塗装されている。各戸の住人が自ら塗装したのか?いずれにせよ欧州の一般の人々の「街並み」に関する意識の高さに思わず微笑。

  
domoin.jpg
クーポラの2重構造部分を歩く。アーチ構造になっているのが良く分かる。この階段の下に天井画が描かれているのだ。

domodw.jpg
ドームの足元から身廊を見る。
黒い粒のように見えるのが人間。アーチや窓、全てのサイズが大きく、写真で見るとスケールの把握が難しい。 

domoch.jpg
見上げるとジョルジョ・ヴァザーリとフェデリコ・ツッカリによるフレスコ画「最後の審判」。間近で見るとすごい迫力。頂部には明かり取り「ランタン」がある。ランタンのトップに付く金色の球の設置には若き頃のレオナルド・ダヴィンチも関わったと言われている。165年の歳月をかけ、各時代の天才たちによってこの大聖堂がつくられた。

2重構造のクーポラの中を歩き、天井画を間近で見た後はこれまた世界遺産のベッキオ橋へ。街をそぞろ歩いた後は、世界最古の薬局(?)と言われるサンタ・マリア・ノヴェッラ本店を見学しつつお土産を購入。vec.jpg
ヴェッキオ橋。橋の両側に宝石店が張り付いて並んでいる。

sant1.jpg
サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局は教会に付属している。

    
街全体が世界遺産と言えるフィレンツェを一日で見ようなど、あり得ない計画だと百も承知しているが、今回はいろいろと事情があり、ここでフィニッシュ。夕刻ローマへ向け列車に乗り込んだ。(aka)

列車にて

2011 年 2 月 9 日

jrh.jpg
週末は函館への出張だった。札幌から函館までは特急列車で約3時間半の旅である。お弁当を頬張ったり、車窓から美しい山海を眺めたりと、列車での移動は楽しみが多い。そのひとつにJR北海道の車内誌「THE JR Hokkaido」を見る、というのがある。毎月興味深い特集記事が掲載されており、少ページの車内誌としては内容が濃く、質が良いのだ・・・特に僕のお気に入りは作家・小檜山博さんのエッセイ「人生讃歌」。2月号は小檜山さんが中学時代を一緒に過ごした馬「アオ」のお話。いつもこのエッセイにはホロっと泣かされることが多いのだが、今回の話には特にやられた。札幌を出発して10分も経たないというのに景色が涙でかすんでしまう。彼の飾らない語り口が好きだ。

「THE JR Hokkaido」はJR北海道の特急列車内および駅内の「ツインクルプラザ」などで無料で入手できるので、機会があれば是非一度読んで頂きたい。(東京でも神保町の「書泉グランデ」などでバックナンバーをマニア向けに?販売しているらしい) (aka)

「便利」が好きですか?

2011 年 1 月 30 日

bugyou21.jpg

先日新聞を読んでいて気になる記事があった。

2010年の夏、戊辰戦争で有名な函館五稜郭の一角に「函館奉行所」が再現された。完全復元を原則とする文化庁の方針に従い、幕末期の構造、材料、技術を忠実に再現したのだが、通気性が高く、暖房設備が十分でないため、この冬、多くの観光客から「建物内が寒い」「寒くて見学できない」「建物内が寒いのですぐ帰りたい」などという苦情が寄せられ困っているという。

こうした苦情を残す観光客は何が見たくて此処に来ているのだろうか。
当時の函館の寒さや雪の量はおそらく現在より過酷だろう。そんな中、配属された役人たちは実際にここで仕事をしていたのだ。

どんな着物を着ていたのだろう。何枚重ね着したのか。どんな素材が使われていたのだろうか。どうやって暖をとっていたのだろう。それは実際どれくらいの暖かさだったのだろうか。かじかむ手で作業は捗ったのだろうか。春を迎える嬉しさはどれくらいのものだったのだろうか・・・。

そんな事に思いを馳せて、今の自分たちの生活を見つめなおす。そのきっかけとしてこうした建物の再現プロジェクトが機能するのではないだろうか。そうでなければ、国が多大な予算、時間、労力をかけて再現する意味がない。
苦情を残す観光客はこの建物に灯油ストーブをつけろと言うのか?断熱サッシュを取りつけろと言うのか?壁にグラスウールを詰めろと言うのか?それは自分の家でやってほしい。

インターネット・携帯電話・パソコン・飛行機・・・。当時からは想像もつかない便利な世の中になった・・・。
新しいもの全てを否定するつもりはない。時代は戻せないし、こうした便利さのうえに現代の経済が成り立っているのも理解できる。でも・・・やっぱりこんな話をきっかけに、自分にとって本当に必要な「便利」について考えてみたい。たとえばあなたの「自宅」にあふれる便利な機械やシステム・・・。本当にそれらが人々に「豊か」な生活を与えてくれているのか?

便利さと引き換えに大切なものをたくさん失っている気がしてならない。(aka)
 
 

近況は?

2011 年 1 月 23 日

しばらく「ユーロ報告」が続いていたので、ここらでちょっと近況報告を。

日本海側の大雪のニュースは全国放送でも取り上げられているのでご存知の方も多いと思うが、札幌も例外ではない。正月明けから急に積雪量が増え、市内は慢性的渋滞に悩まされている。もちろん地下鉄ダイヤには影響がないものの、JRや路線バスの遅れが恒常化し、始発に乗っても職場や学校に間に合わないなど、郊外に住む市民には深刻な影響がでているようだ。
shirakawago.jpg
札幌市中央区に建つ「フツウ・ノイエ」周辺の薪小屋ビレッジにも雪はしんしん降り積もる。その風景はまるで「白川郷」のようだ。こちらも近いうちに「世界遺産」になれば良いのだが・・・。

さて話は変わるが、今週末は札幌に現代美術の大物アーティストが集まった。道立近代美術館には川俣正さん、宮の森美術館には宮島達男さん、どちらも過去に「ヴェネツィア・ビエンナーレ」日本代表に選ばれた経歴を持つ世界的アーティストである。今回僕は、川俣さんのレクチャー&シンポジウム「北海道インプログレス」とワークショップに参加させていただいた。川俣さんの作品は建築的なものも多い為、学生時代に見ていた建築雑誌などにも取り上げられ、昔から作品をよく目にしていたのと、川俣さんが僕の母と同郷(北海道三笠市)であることなどから、片思い的に親近感を抱いていた作家であった。実際お会いしていろいろとお話をさせていただくと、大らかさと情熱が同居する非常に魅力的な方だった。
kawamatasan.jpg
今回の札幌でのワークショップをベースに、北海道で新たなプロジェクトを推し進めるというお話なので、僕もワークショップに参加した一メンバーとして、今後も何らかの形で関わらせていただきたいと思っている。(aka)