デザインのないデザイン
2010 年 10 月 24 日 日曜日先週、僕が所属する日本建築家協会の仕事で、金属板などを取り扱う工場を見せていただく機会があった。

僕らの事務所では、設計に対する姿勢・キーワードとして「理由があるデザイン」を掲げているが、「工場」はまさに「理由があるデザイン」の宝庫。僕に限らず基本的に建築家は工場が好きである。

リドリー・スコット監督が好きそうな天井に並ぶ換気扇は、もちろん排気のため。ファンの隙間から太陽光が差し込んでくる。ほとんど「ブレードランナー」の世界だ。手摺は安全性を考慮し目立つ黄色に塗装。階段や柱、梁は機能を満たすためだけに考えられ、余計な装飾は一切無い。人に見せる事を考えていないデザインの強さ、潔さ。

ハンドルは手袋のままでも滑りにくいよう緩い曲線の凹凸が付いている。ワンモーションで回す角度を考え、次にハンドルに手を掛けやすいようスポークは3本。それらが必要な間隔をあけて同じ高さに並んでいる。機能に合わせて選ばれた素材、位置、サイズ。

普段あまり目にする機会のないスケールを体験できるのも工場の魅力。工場全体の規模もさることながら、歯車ひとつとっても、スケールの違いに思わずシャッターを押してしまう存在感の強さ(これで大人の身長くらいの直径)。
子供の頃、社会学習として工場見学に行った時のワクワク感を今でも覚えているが、どうやらそれはこの歳になっても変わらないようである。工場にはそういう魅力が隠されているのだ。 (aka)



