2010 年 10 月 のアーカイブ

デザインのないデザイン

2010 年 10 月 24 日 日曜日

先週、僕が所属する日本建築家協会の仕事で、金属板などを取り扱う工場を見せていただく機会があった。
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僕らの事務所では、設計に対する姿勢・キーワードとして「理由があるデザイン」を掲げているが、「工場」はまさに「理由があるデザイン」の宝庫。僕に限らず基本的に建築家は工場が好きである。

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リドリー・スコット監督が好きそうな天井に並ぶ換気扇は、もちろん排気のため。ファンの隙間から太陽光が差し込んでくる。ほとんど「ブレードランナー」の世界だ。手摺は安全性を考慮し目立つ黄色に塗装。階段や柱、梁は機能を満たすためだけに考えられ、余計な装飾は一切無い。人に見せる事を考えていないデザインの強さ、潔さ。

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ハンドルは手袋のままでも滑りにくいよう緩い曲線の凹凸が付いている。ワンモーションで回す角度を考え、次にハンドルに手を掛けやすいようスポークは3本。それらが必要な間隔をあけて同じ高さに並んでいる。機能に合わせて選ばれた素材、位置、サイズ。

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普段あまり目にする機会のないスケールを体験できるのも工場の魅力。工場全体の規模もさることながら、歯車ひとつとっても、スケールの違いに思わずシャッターを押してしまう存在感の強さ(これで大人の身長くらいの直径)。

子供の頃、社会学習として工場見学に行った時のワクワク感を今でも覚えているが、どうやらそれはこの歳になっても変わらないようである。工場にはそういう魅力が隠されているのだ。 (aka)

光の色

2010 年 10 月 9 日 土曜日

先日、新しいプロジェクトの打ち合わせのため、JRで函館市(道南エリア)に向かった。列車の種類によって所要時間は変わるのだが、札幌からだと片道およそ3時間半の旅。今年の夏まで現場が動いていた帯広市(道東エリア)までと比べると1時間程度長い旅になる。北海道の地理に詳しくない方のために、イメージをお伝えすると、札幌から帯広に向かうのが横移動(経度方向)だとすると、函館へは縦移動(緯度方向)。

列車が1時間長く走るのだから、札幌から函館までの距離が、当然帯広までのそれより長いのは理解できる。しかし、それ以上に何故か函館は遠方に感じる。いつもそう思う。
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車窓から景色を眺めながら、そんな事を考えていた。まず植生が違う。函館に近づくにつれ樹木の種類や色が変わっていく。計測したわけではないが、湿度も変わっていく気がする。空気の質が変化していく感じ。

空気が変われば当然、太陽光線の色や質も変化するだろう。A地点から飛行機で突然B地点に降り立つのでは感じられない、光の変化のグラディエーション。

札幌で生まれ育った僕には、「まんが日本昔話」の風景は、どこか違う国の風景に見えていた。ブラキストン線に近づくにつれ、やはり「日本」の香りが強く漂ってくるのだ。
(aka)

10月の現場

2010 年 10 月 2 日 土曜日

10月に入った。多くの人が同じ感を抱いていると思うが、2010年が明けて、はや10カ月である。歳を重ねるごとに1年の感じ方がだんだんと短くなるという話はよく聞くが、最近それを強く実感する。

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札幌・円山エリアで進行中のMビル工事は、足場が外れ、来週からはテナント工事が本格化する。アンティーク雑貨・家具などを取り扱うショップ、カフェ、フレンチレストランなどがオープンに向け準備中。

札幌市清田区では、木造住宅の工事が進行中。4世代7人家族という、特徴的な家族構成。キューブ状のボリューム内を、7人が集えるストリートが貫通しており、その1階のストリートと2階のストリートは十字型に交差している。
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その交点に設置される金属製の螺旋階段は、工事の都合上すでに設置されており、それが気になるのか、多くの近所の人々が足を止めて中を覗き込んでいく。
(aka)